確定申告の申告期間は終わったけど、医療費控除の申告はまだできる?!

確定申告には期限があり、原則2月16日から3月15日の1ヶ月間です。昨年度分の申告期間は、カレンダーの関係で2月17日(月)から3月17日(月)までになっていました。年度末で忙しくて、医療費控除などの還付申告が期限に間に合わなかった、という人もいらっしゃるのではないでしょうか。

サラリーマンは年末調整で税金が確定しているので確定申告の義務はありませんが、年末調整では行なってくれない医療費控除の申請などを行う場合は確定申告を行う必要があります。でも、これらの申請が期間内に間に合わなかったらどうなるのでしょうか。

今回は確定申告に関して、期限に間に合わなかった場合や申告の誤りを訂正する方法などについて解説していきます。


ポイント

  • 還付申告の期限は通常の確定申告の期限とは異なり翌年1月1日から5年間
  • 申告の誤りを見つけたらできるだけ早く対処する
  • 対処の方法には、訂正申告、更正の請求、修正申告がある

目次


1. 確定申告をする必要がある人

サラリーマン向け税金 基本のキ!!」や「NISAは最強?特定口座やiDeCoとの使い分け戦略を考えよう!!」の投稿で、日本では自ら所得等の申告を行うことで税額が確定し、確定した税額を自ら納付する申告納税制度が原則であることを説明しました。ただし、会社に勤めているサラリーマンについては、給与に対する源泉徴収制度と年末調整の仕組みで税額が確定し納税が行われるため、確定申告が必須ではありません。

サラリーマンで確定申告が必須となるのは以下の場合です。
  • 給与等の収入金額が2,000万円超の場合
  • 給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円超の場合
国税庁のホームページ「給与所得者で確定申告が必要な人」によれば、以下のように説明されています。
給与等の収入金額が2,000万円以下である給与所得者が、1か所から給与等の支払を受けており、その給与について源泉徴収や年末調整が行われる場合において、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下であるときは、原則として確定申告を要しない
一方で、年末調整で行われる所得控除や税額控除は一部であり、ふるさと納税に係る寄付金控除や医療費控除などは年末調整の対象外です。このように本来確定申告を要しない人が税金の還付を目的として行う確定申告を還付申告と言います(参考: 国税庁ホームページ「還付申告」)。

この還付申告を行う場合の注意点として、前出の「給与所得者で確定申告が必要な人」に以下が説明されています。
還付申告を行う場合には、給与所得だけでなく、その20万円以下の所得も併せて申告をする必要があります
給与所得以外の所得が20万円以下で申告義務がなかった人も、還付申告を行う場合は20万円以下の所得も含めて申告しなければならない、ということです。

さて、確定申告を行う必要がある人については、確定申告の期間内に申告を行う必要があります。この期間は、毎年2月16日から3月15日までと決まっていますが、2月16日や3月15日が土日の場合はその次の月曜日になります。 そのため、令和6年(2024年)分の確定申告の期間は2月17日から3月17日になります。ただし、還付申告の場合は別の期間が定められています。

2. 還付申告

国税庁のホームページ「還付申告」には、以下の記載があります。
確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
あなたが確定申告義務がない人であって、還付申告を行うだけであれば、確定申告期間とは関係なく5年間のうちに申告すれば良いということです。昨年度の還付申告は、2025年1月1日から2029年12月31日まで申告できるということです。

ということですので、還付申告の人は期限を過ぎても慌てないようにしましょう。

サラリーマンでも、副業のある人や個人年金保険を年金で受給している人などは確定申告義務がある人になる可能性があります。私は個人年金保険に係る雑所得が20万円を超えるので、確定申告義務があり、ふるさと納税に係る寄付金控除や医療費控除の申請とともに期限内に申告する必要があります。

3. 申告義務のある人が期限を過ぎてしまったら

確定申告の義務があるのに申告期限を過ぎてしまったらどうなるのでしょうか。国税庁ホームページ「確定申告を忘れたとき」に詳しく書かれていますので、その内容について簡潔に説明します。

確定申告の義務のある人が確定申告を行わないと、税務署によって調査が行われます。この調査の前に事前通知というものがあり、申告を行なったタイミングにより、無申告加算税率が変わります。

①申告期限後税務署からの事前通知までに申告: 5%の無申告加算税
②事前通知後調査までの間に申告: 10%の無申告加算税(税額50万円以上はさらに加算)
③調査後に申告: 15%の無申告加算税(税額50万円以上はさらに加算)

過去に無申告加算税を加算されたことがあると悪質とみなされ、無申告加算税に加えて重加算税が課せられます。さらに税金の納付期限を過ぎると延滞税がかかります。

一方で、期限後申告であっても、申告期限から1か月以内に自主的に行われており、かつ期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合は、無申告加算税は課せられないと記載されています。

いずれにせよ、申告義務がある人はしっかりと期限内に申告し、税金を納める必要がある場合は納期限を守るようにしましょう。

4. 申告内容に誤りがあったら

それでは申告した後、その申告内容に誤りを発見した場合はどうすれば良いのでしょうか。
国税庁ホームページ「申告が間違っていた場合」に詳しく書かれているので、この内容についても簡潔に説明します。

①確定申告期間内に誤りを発見した場合

この場合は、確定申告をもう一度行って申告します。これを訂正申告と呼びます。ただし、還付申告で既に還付金が支払われている場合で、訂正申告により還付金が少なくなったり、税金を納める必要があったりする場合は、精算や納付が必要となるので、税務署に問い合わせをする必要があります。

②確定申告期限後に誤りを発見し、税額を実際より多く申告していた場合

この場合は、「更正の請求」を行う必要があります。更正の請求ができる期間は、原則として、法定申告期限から5年以内です。請求内容が正当と認められたときは、納め過ぎた税金が還付されます。

確定申告期限後に誤りを発見し、税額を実際より少なく申告していた場合

この場合は「修正申告」を行うことになります。税務署から指摘を受けて修正申告を行う場合は、過少申告加算税がかかり、悪質な場合は重加算税が上乗せされます。誤りに気づいたらできるだけ早く修正申告を行いましょう。

なお、更正の請求書及び修正申告書は、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」で作成できます。

5. まとめ

還付申告を行うだけであれば、確定申告期間とは関係なく5年間のうちに申告すれば良いこと、および申告に誤りがあった場合の対処方法について解説しました。もし還付申告できるのであれば早めに行うことをおすすめします。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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