株価乱高下で確定拠出年金のパフォーマンスはどうなった?!損益を確認してみましょう!


このところの株価の下落と乱高下、気になりますよね。私も運用成績次第で老後資金が変動する確定拠出年金を行なっているので状況が気になります。私の場合、企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)両方を行なっているので、その状況を確認してみたいと思います。


ポイント

  • 私的年金制度のうち、確定拠出型の加入者が増加している
  • 直近の株価下落の影響はあるが、私の場合は時間分散の効果で利益が出ている
  • 老後資金については出口戦略を考えることが重要


目次


1. 私的年金制度

日本の年金制度は以下の図のように3階建てになっています。

日本の年金制度

厚生労働省のホームページの図を元に簡略化して引用
  • 現役世代はすべて国民年金の被保険者になる (1階)
  • 会社員や公務員は厚生年金保険に加入し、上乗せ給付を受ける (2階)
  • 希望する人は私的年金に加入し、さらに上乗せ給付を受ける (3階)
私的年金は、公的年金の上乗せの給付を受けるための制度です。企業や個人は多様な制度の中からニーズに合った制度を選択することができます。私的年金には、企業が従業員のために実施する「企業年金」と、個人が自ら加入する「個人年金」があります。

私的年金制度は大きく分けて「確定給付型」(DB: Defined Benefit)と、「確定拠出型」(Defined Contribution)の2種類に分類できます。

確定給付型は、あらかじめ給付の算定方法が決まっているもので、運用は事業主や基金が行います。運用状況が悪化して資産の積立不足が発生した場合は、事業主が不足分を埋め合わせる必要があります。これに対して、確定拠出型は加入者個人が運用を行うことで給付額を確保するタイプです。

私的年金は広い意味では民間の保険会社が行う個人年金保険なども含まれますが、ここでは税制上の優遇措置が適用される企業年金・個人年金を取り上げます。

公的年金の3階部分にあたる私的年金制度をまとめたものが以下になります。

私的年金制度
※厚生労働省 第25回社会保障審議会企業年金・個人年金部会2023年7月24日参考資料2(PDFファイル)より一部簡略化して引用

企業型については、バブル崩壊後に予定した利回りを確保することが難しくなり運用リスクが顕在化したため、確定給付型から確定拠出型への移行が進みました。また、確定拠出型では個人ごとに資産が管理されるため、転職時に容易に年金資産を移管することができることも利用者にとって望ましい制度です。また、従業員から見た場合、自らの判断で運用商品を選び、積極的に資産形成を行いたいというニーズが高まっており、確定拠出型への加入者が増加しています。

企業型確定拠出年金(企業型DC)加入者推移
※厚生労働省 「企業型の加入者数の推移」(PDFファイル)より抜粋引用

個人型確定拠出年金(iDeCo)については、平成14年(2002年)の制度が施行され、平成29年(2017年)の加入者範囲の拡大を契機に加入者が急増し、平成30年(2018年)には100万人を、令和3年(2021年)には200万人を超えました。令和4年(2022年)の加入者範囲のさらなる拡大、および企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和を受け、令和5年(2023年)7月末時点で約302.6万人となり、300万人を突破しました。また、直近では令和7年2月時点で約361.0万人との発表がなされています。

個人型確定拠出年金(iDeCo)加入者推移
※厚生労働省 令和5年9月01日(金)報道発表より引用

確定拠出年金の老齢給付の受給権は60歳で得られますが、60歳から受給を開始するには、加入期間が10年以上必要です。10年未満の場合は、受給開始年齢が加入期間に応じて繰り下げられます。

60歳までの加入期間受給開始年齢
10年以上60歳
8年以上10年未満61歳
6年以上8年未満62歳
4年以上6年未満63歳
2年以上4年未満64歳
1ヶ月以上2年未満65歳

60歳以上で初めて確定拠出年金に加入した場合は、加入から5年を経過した日から受給できることになっています。受給権取得後、75歳まで裁定請求ができますが、裁定請求を行わない場合は年金として受け取る権利がなくなり、一時金で受け取ることになります。

2. 企業型確定拠出年金(企業型DC)の状況

ここから私の企業型確定拠出年金(企業型DC)の状況を確認していきます。

企業型DCには、前職にて制度が開始された時に加入しました。その後転職により今の会社の確定拠出年金に資産を移管し、その後60歳で加入資格を喪失したため、現在は「運用指図者」となっています。「運用指図者」とは、掛金の拠出を行わず、これまでに積み立てた資産の運用のみを行う人のことをいいます。私の場合、通算加入期間は5年9ヶ月なので、受給権は63歳で取得しましたが、受給するための裁定請求は行なっておらず、運用を続けている状態です。加入期間を含めた運用期間は10年弱になります。

投資商品は資産移管したときに選択した「ダイワ・ライフ・バランス30」という投資信託で、運用方針は「複数のマザーファンドを通じて、国内外の株式および債券に投資する。標準組入比率(日本株式20%、日本債券55%、外国株式10%、外国債券15%)を目処に投資を行う。合成ベンチマーク(各資産ごとのベンチマークの騰落率を標準組入比率に準拠して指数化したもの)に連動する投資成果をめざす。為替ヘッジせず。」とされています(日本経済新聞の投信サイトより引用)。

大和アセットマネジメントのファンド紹介サイトで10年来のチャートを確認すると以下のようになっていました。

チャート(2015/04/17~2-25/04/17)

コロナショックで一旦落ちましたが、その後は順調に回復していることがわかります。

さて、実際の評価損益はどうなっているでしょうか。下記が本日朝の時点での状況です。

企業型DCの資産状況

念の為昨年4/1時点の資産額を確認すると1,475,700円でしたので、その時点からは6万円ほど目減りしていますが、心配するほどの減少ではなく少し安心しました。利回り(=損益/拠出金額)は約17.6%となっています。年率は拠出期間があるので正確には年ごとに計算する必要がありますが、ほぼ拠出が終わった5年間と見ると年率約3.3%という数字になり、インフレ率は上回っていそうです。

ちなみに投資信託にはコストがかかりますが、上の損益はそのコストが差し引かれています。投資信託にかかるコストについては、「税金以外の投資にかかる費用にはどんなものがある?運用コストを抑えて賢く投資しましょう!!」の投稿で詳しく解説しています。

3. 個人型確定拠出年金(iDeCo)の状況

さて、個人型確定拠出年金(iDeCo)の状況はどうなっているでしょうか。

私の場合、企業年金に加入していた60歳まではiDeCoに加入できませんでした。会社員(第2号被保険者)のiDeCoの加入要件には例外があって、以下の場合は加入できません。
  1. 企業型確定拠出年金に加入している方で、事業主掛金を各月単位ではなく、年単位で拠出している方
  2. 企業型確定拠出年金に加入している方で、事業主掛金に上乗せしてマッチング拠出をしている方
私の場合、上の1の要件に当てっていたため加入できなかったわけです。また、60歳で企業型確定拠出年金の加入者でなくなった時には、iDeCoの加入年齢は60歳まででした。iDeCoの加入要件が緩和され、65歳まで加入できるようになったのが2022年5月です。これをきっかけに、老後資金の上乗せのためというよりは、節税のためにiDeCoを開始しました。iDeCoの節税効果については、「確定申告eTax入力⑥iDeCoに係る小規模企業共済等掛金控除の申告を行います!」の投稿を参照いただければと思います。

上のような経緯のため、iDeCoの加入期間はまだ28ヶ月、月額拠出額は限度額の23,000円(年額276,000円)となっています。投資商品は、大きなリスクを取りたくなかったので、バランス型の「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」を選んでいます。

三菱UFJアセットマネジメントのサイトで3年間のこのファンドの推移を見てみると、以下のようになっています。

基準価額および純資産総額の推移

直近で大きく下げていますが、それでもこの3年間の騰落率は+15.84%となっています。

実際の損益状況については今朝の時点で以下のようになっています。

iDeCoの資産状況

管理コストを引いてもとりあえず利益が出ていて良かったという感じです。

iDeCoにかかる費用については、「税金以外の投資にかかる費用にはどんなものがある?運用コストを抑えて賢く投資しましょう!!」で詳しく解説しています。また、iDeCoについては更なる加入可能年齢の引き上げが予定されています。その内容については、「老後資金の上乗せはiDeCo?!拠出限度額の引き上げや加入可能年齢の上限の引き上げが予定されています!!」の投稿で詳しく説明しています。

4. 今後の運用方針

企業型DCおよびiDeCoの状況が確認できたところで、今後の運用方針を考えてみます。

どちらも老後資金の位置付けなので、公的年金や個人年金保険の受給状況および予定を踏まえて出口戦略を考える必要があります。私の場合、個人年金保険を60歳から10年確定年金として受け取っています。公的年金については、厚生年金については加給年金が付加されるように65歳から受給、基礎年金については健康状況を見ながら繰下げしていこうと考えています。

企業型DCについては受給権を得ていますが、当面すぐに受給する必要もないので引き続き運用を続けようと思っています。企業型DCについてはiDeCoのような維持費がかからないので、敢えてiDeCoに資産を移管しなくても良いと思っています。

一方、iDeCoについてはそもそも加入期間が5年ないと受給権が発生しないので、加入可能年齢の70歳までの延長や拠出限度額の引き上げを行なって継続しようと思っています。ただし目的が節税なので、退職後の拠出額については、公的年金等の収入額をもとに税額計算を行った上で減額を検討したいと思っています。

5. まとめ

企業型確定拠出年金(企業型DC)および個人型確定拠出年金(iDeCo)の損益状況を確認し、今後の運用方針を考えてみました。個人ごとに状況は違うと思いますが、参考にしていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

1級ファイナンシャルプランニング技能士
CFP®️認定者
1級DCプランナー

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