確定申告eTax入力④医療費控除を申告します!!
前回までの投稿で解説しましたが、私のeTaxによる確定申告は所得についてはすべて入力完了しました。これからいくつかの控除申告を行なっていきますが、最初の所得控除として医療費控除を申告していきます。医療費控除は年末調整の対象外ですので確定申告が必要になります。医療費控除は、その年度にかかった医療費が多かった人に、「医療費がたくさんかかって大変でしたね。税金を少し免除してあげましょう。」という制度と考えることができます。
医療費控除の種類、申告方法などを解説し、実際にeTax上で入力していきます。
ポイント
- 医療費控除には、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制があるが、選択制なのでどちらが有利かを検討する必要がある
- 医療費控除の申告にはいくつかのやり方があるので好みの申告方法を決めておく
- 保険金等で補填される金額は、その治療に係る金額まで差し引けば良い
目次
1. 医療費控除とは
医療費控除には通常の医療費控除とセルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)という2種類があり、どちらかひとつの制度を選択して申告する必要があります。ここでは通常の医療費控除を解説します。
医療費控除については、国税庁のホームページ「医療費を支払ったとき(医療費控除)」の゛概要の部分に以下の記載があります。
その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記「医療費控除の対象となる金額」参照))の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。
世帯主が扶養親族のために支払った医療費も対象になるということですね。また、「支払った場合」ということで、医療を受けた日ではなく支払った日で判断するので、その年の未納分は含めません。前年末に医療を受けて本年に支払った場合はその額を含めることになります。
医療費控除の対象となる医療費は、国税庁のホームページ「医療費控除の対象となる医療費」に詳しく説明されています。結構細かいのでよくわからないものも多く、私も悩んだらその都度調べています。
医療費控除の額は以下の図のように計算します。
10万円と総所得金額の5%の少ない方の金額ということは、総所得金額が200万円以上の場合は10万円、200万円未満の場合はその5%を差し引くということです。控除限度額は200万円です。
例えば、所得金額400万円の方の場合で、医療費の合計額が50万円、受領した保険金が30万円の場合、以下のように計算します。
医療費控除の額 = 50万円 - 30万円 -10万円 = 10万円
保険金等で補填される金額は注意が必要です。例えば手術の必要な病気で入院し、25万円の費用がかかったとします。その他の医療費を合算すると45万円になったとしましょう。この手術・入院にかかる保険金等の補填が30万円あった場合、上の計算を行うと以下のようになります。
医療費控除の額 = 45万円 - 30万円 - 10万円 = 5万円
しかし、保険等で補填される金額は対象医療費からのみ差し引けば良い(他の医療費から差し引く必要はない)ことになっており、正しくは以下の計算になります。
医療費控除の額 = 45万円 - 25万円 - 10万円 = 10万円
2. セルフメディケーション税制
もうひとつの制度、「セルフメディケーション税制」について解説します。この制度については、確定申告コーナーの「セルフメディケーション税制とは」のページに詳しい説明があります。制度の概要には以下の記載があります。
健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている方が、その年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために12,000円を超える対象医薬品を購入した場合には、「セルフメディケーション税制」(通常の医療費控除との選択適用)を受けることができます。
この控除を受ける場合には、通常の医療費控除を受けることができませんので、ご留意ください。
「一定の取組」には健康診断やインフルエンザの予防接種などが含まれます。対象医薬品は、いわゆるスイッチOTC医薬品に指定されている医薬品で、購入した際のレシートに対象医薬品であることが明記されているものになります。
セルフメディケーション税制における控除額は以下の図のように計算します。
例えばスイッチOTC医薬品の購入総額が70,000円、保険で補填される金額がない場合、70,000 - 0 - 12,000 = 58,000円の所得控除が受けられることになります。
セルフメディケーション税制における控除限度額は88,000円で、通常の医療費控除が200万円なのに対し少額です。ふたつの制度で所得控除額を計算し、大きい金額の方の制度を選択すると有利になります。
一般に、医療費の総額が大きい場合は限度額の高い通常の医療費控除で計算される控除額の方が大きくなりますが、保険金等で補填される金額が大きい場合もあるので断定はできません。状況に応じて選択するようにしてください。セルフメディケーション税制を選択する可能性がある場合は、計算できるようにしておく必要があるのでレシートを保管してのが良いでしょう。
3. 医療費控除の申告方法
さて、医療費控除の申告方法を見ていきます。まずは通常の医療費控除の場合です。
大きく分けて3とおりの入力方法、およびその組み合わせがあります。
- 健康保険組合から送られてくる医療費通知を利用する
- 医療費集計フォームを利用する
- 個別に入力する
医療費通知を利用すると入力を簡略化させることができます。ただ、医療費通知は保険適用分のみで自由診療分が含まれていないこと、1年分の情報が取得できるのが2月上旬以降になることなど注意が必要です。交通費なども含めて、個別に入力することを並行して行う必要があるかもしれません。
個別に入力するのは手間がかかるので、医療費集計フォームというExcelファイルが用意されています。この医療費集計フォームは、確定申告書等作成コーナーのトップページからダウンロードできます。
医療費集計フォーム
医療機関にかかるごとにこの集計フォームに入力しておくと確定申告の時に集計する手間が省けるのでおすすめです。
セルフメディケーション税制の申告の場合、まず「健康の保持増進及び疾病の予防に関する取組」を入力します。その後領収書を1件ずつ入力していくことになります。残念ながらセルフメディケーション税制の方は、医療費集計フォームのような事前集計用フォームは用意されていません。
4. eTaxでの医療費控除の入力手順
私は医療機関にかかるたびに、医療集計フォームに家族全員分の医療費と保険等で補填された金額、交通費などを入力していました。このフォームを使ってeTaxでの入力を行なっていきます。
確定申告書等作成コーナーのトップページにある「保存データを利用して作成」をクリックし、次のページで「作成再開」をクリックします。「ファイル選択」をクリックし、保存してあったデータファイルを指定してから、「保存データ読込」をクリックします。所得税の確定申告書の横にある「作成再開」をクリックすると、前回保存した状態から入力を再開できます。
「控除の申告 (1/2)」のページまで「次へ」ないし「戻る」をクリックして進みます。「医療費控除」をクリックし、「医療費控除」を選択します。真ん中あたりにある「医療費集計フォームを利用しますか?」に対して、「はい」をクリックします。「集計フォーム読込画面へ」をクリックして、「医療費集計フォームの読込」画面に進みます。ここで「ファイルの選択」をクリックして、作成してあるフォームのExcelファイルを指定します。「選択したファイルを読み込む」をクリックするとフォームが読み込まれ、件数、医療費の合計額、補填金額などが表示されます。正常に読み込まれていれば終了です。
「次へ」を何回かクリックして「計算結果の確認」のページまで進むと、納付または還付金額が表示されます。私の場合、医療費控除の申告により納付金額は減りましたが、まだ還付までは至っていません。
5. まとめ
所得控除の最初として医療費控除の申告を行いました。次回は、ふるさと納税による寄附金控除の申告を行いたいと思います。
本日はここまでです。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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