自動車保険の更新案内が届いた!補償内容を確認しながら更新しましょう!!

自動車保険の更新案内が届きました。補償内容について再確認するチャンスです。私は2台の車を所有しているので、補償内容の重複がないかも気になります。更新時、どんな点に注意すれば良いか考えてみたいと思います。


ポイント

  • 自賠責保険は人身事故しか補償されない
  • 人身事故で補償される保険金額を落とさずに保険料を抑えることを考える
  • 「運転者限定特約」「運転者年齢条件」を適切に設定する
  • 補償の重複がないか他の加入している保険の内容も併せて確認する

目次


1. 自動車保険について

自動車保険には、強制加入の自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と任意加入の自動車保険があります。

自賠責保険は、自動車1台ごとに必ず契約締結が必要で、購入時や車検の時に加入・更新しています。車検費用の一部のようになっていて、あまり保険料を意識していないかも知れません。

自賠責保険で補償されるのは人身事故のみで、物損事故は補償の対象にはなりません。自賠責保険の支払い限度額は、被害者一人当たりで決められています。

被害者1人あたり限度額
損害補償内容支払い限度額
死亡葬儀費・逸失利益・慰謝料3,000万円
後遺障害逸失利益・慰謝料※神経系統の機能や精神・胸腹部臓器への著しい障害で介護が必要な障害
  常時介護(第1級):4,000万円
  随時介護(第2級):3,000万円
※上記以外の後遺障害
  (第1級)3,000万円〜(第14級):75万円
障害治療関係費・文書料・休業損害・慰謝料120万円
※国土交通省「自賠責保険・共済ポータルサイト」を参考に筆者作成

自賠責保険では人身事故のみしか補償されないのに対して、任意の自動車保険は自動車事故に関するさまざまなリスクに対応した補償の組み合わせによって構成されています。大きく分けると、「賠償責任保険」、「傷害保険」、「車両保険」の3つに分類されます。

任意の自動車保険の加入率は、損害保険料率算出機構の「2023年度自動車保険の概況」によると、2023年3月末現在自動車保険、自動車共済合わせて対人賠償普及率が88.4%とのことです。ほとんどの方が任意自動車保険に加入しているということになります。

2. 任意自動車保険の補償内容

ご存知の方も多いとは思いますが、任意自動車保険の代表的な補償内容について確認していきます。

①対人賠償責任保険

事故により他人を死傷させて損害賠償責任を負った場合で、自賠責保険等で支払われる金額を超過する場合に、その超過額に対して保険金が支払われます。他人が対象なので配偶者や子供に対する補償は行われません。

②対物賠償責任保険

事故により他人の財物を壊して損害賠償責任を負った場合に補償が受けられる保険です。この保険も他人の財物が対象であり、配偶者や子供の財物が壊れた場合には補償がありません。

③自損事故保険

単独事故や相手に過失のない事故などで、運転者や同乗者が死傷した場合で、自賠責保険や人身傷害保険で補償されない場合に保険金が支払われます。保険によっては、人身傷害保険が自損事故もカバーしている場合があります。

④無保険者傷害保険

事故で被保険者が死傷した際、相手から十分な補償が受けられない場合に保険金が支払われます。具体的には、人身傷害保険から保険金が支払われない場合や、自賠責保険と無保険者傷害保険の保険金額の合計額が人身傷害保険の保険金額より多い場合に支払いを受けることができます。

⑤搭乗者障害保険

搭乗中のすべての人が被保険者となり、事故によって死傷した場合に保険金が支払われます。保険金は他の保険金と支払い調整することなく、定額で支払われます。

⑥人身障害保険

搭乗中の運転者や同乗者が事故により死傷した場合、保険金額の範囲内で約款で定める基準等で計算された損害額が支払われる保険です。相手がいる事故か単独事故かを問わず、また過失相殺による減額をせずに損害額全額が支払われます。

⑦車両保険

何らかの事故によって損害を被った場合に補償を受けられる保険です。交通事故だけでなく、盗難や洪水など偶然な事故や被保険者の過失によって発生した事故も保険金の支払い対象になります。ただし、地震や地震による津波によって生じた損害は対象外になります。

車両保険には「一般型」と「エコノミー型」があり、「エコノミー型」では単独事故や墜落・転覆は補償されません。

3. 補償内容見直しのポイント

前章で補償内容を見てきましたので、次に自動車保険契約の更新時における補償内容の見直しについて考えてみます。

自動車事故では、一度大きな事故を起こしてしまうと莫大な賠償責任を負うことになります。ですので、特に人身事故を補償する保険については、可能な限り「無制限」などの大きな補償を準備しておいたほうが良いと思います。もちろん、補償が多いほど保険料も高くなるので家計の余裕状況にもよりますが、補償を減らすより同一の補償をより安く得られる保険会社を探す、あるいは特約などを見直す方が得策だと思います。

自損事故を補償する車両保険等は、特に車が新しい時には修理も高額になりがちなので付けておくに越したことはありません。一方で、貯蓄や余裕資金が潤沢にある場合は付けずに保険料を抑えるという考え方もあります。ご自身やご家族の状況を考えて見直しを検討されると良いと思います。

前章では説明しませんでしたが、見直しのポイントとして運転者の条件を変更すると保険料が抑えられることがあります。「運転者限定特約」および「運転者年齢条件」の設定です。

まず「運転者限定特約」ですが、運転者を「本人限定」「本人・配偶者限定」「家族限定」などで制限することで保険料を抑えることができます。

次に「運転者年齢条件」ですが、「年齢を問わず補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「35歳以上補償」などの区分があります。ここで覚えておきたいことは、この年齢条件の範囲で補償されるのは配偶者や同居の親族であり、友人や別居の子などは年齢条件に関係なく補償されることです。ですので、同居の家族のうち運転する可能性のある最も年齢の低い人を基準に年齢条件を設定します。同居のお子様の年齢が上がり、区分が変われば保険料が安くなる可能性があります。

4. 重複補償の回避

次の見直しのポイントは補償の重複がないかを確認することです。火災保険や他の障害保険などに付加されている特約と自動車保険の特約の重複を確認しましょう。ただし、他の保険では自動車事故がカバーされていない場合もあるのでその点は注意してください。

他の保険で補償されていなくても、2台の自動車を所有している場合はそれぞれの契約で重複がないかを確認していきます。個人賠償責任補償特約、弁護士費用等補償特約、ファミリーバイク特約は2台目の契約では付ける必要はありません。

また、人身傷害保険の人身障害補償タイプには、「車内・車外補償型」と「車内のみ補償型」があります。車外補償が付いていると、本人や家族の歩行中の事故や他の車に乗車中の自動車事故も補償の対象になります。この補償は1台の契約でカバーできていれば問題がなく、2台目の契約では「車内のみ補償型」とすることで保険料が抑えられます。

5. まとめ

自動車保険の補償内容と、契約更新に伴う見直しのポイントについて説明してきました。みなさまの参考になれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

1級ファイナンシャルプランニング技能士
CFP®️認定者
1級DCプランナー

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