お得かどうかを即座に判断できますか?利率やポイント付与率を考えるようにしましょう!!

日常生活の中で銀行やお店のキャンペーンをよく見かけますよね。銀行であれば期間限定キャンペーン金利とか、お店であればポイント10倍デーとか、気になるものも多いと思います。今日はそんな情報を見かけた時にお得度をどうやって測ったらいいか、というお話をしていきたいと思います。


ポイント

  • 金融商品の金利、利回り等は記載がなければ1年あたりで表記されている
  • 複利効果を最大限利用する
  • ポイントは使ってはじめて効果となる

目次


1. 利子・利息・利率・金利・利回り

お得度を図るためにはなんらかの尺度が必要になります。数値化できれば比較できますよね。この尺度に当たるものが利率や利回りなどです。利子、利息、利率、金利、利回りなど似たような言葉が多いのでちょっと整理しておきましょう。

まず、利子と利息は同じ意味ですが、金融機関や法律用語で使い分けがされているようです。銀行預金では利息、ゆうちょ銀行の貯金では利子が使われています。また、所得税では利子所得のように利子が使われています。

次に、利率と金利ですがこれも同じものだと考えて良いでしょう。ただ、金融商品で金利という場合、特に表示がない場合は1年間の利率を指すので、この点だけは覚えておきましょう。例えば、金利0.3%の6ヶ月定期という場合、この0.3%は1年間での利率なので6ヶ月定期であれば約半分の利率で利子が計算されることになります。また、金利から得られる利子は税引き前であることも重要なポイントです。

最後に利回りについてです。利回りは投資金額に対する収益の割合を一定期間での平均で示したものです。金融商品の場合、利回りについても、特に表示がない場合1年間での平均で表します。また、収益なので、税金や必要経費を除いて計算するのが一般的です。

次の節で単利と複利を解説した後、いくつかの例で利回りを計算してみます。

2. 単利と複利

次に単利と複利のお話です。

単利では元金に対してのみ金利がつくのに対し、複利では元金と発生した利子の合計に対して金利がつきます。金利1%の3年間の定期預金に100万円預けた場合、単利と複利でどのような差が出るでしょうか。前節で述べたとおり、ここでの利子計算は税引前の金額になります。

【単利の場合】
利子 = 元金 x 金利 x 期間(年)
 = 100万円 x 0.01 x 3
 = 3万円

【複利の場合】(以下で^は累乗を表します)
利子 = 元金 x {(1+金利)^期間(年)-1}
 = 100万円 x {(1+0.01)^3-1}
 = 30,301円

複利の場合、利子を元本に足していくのでその分利子も増えることになります。上の例では1年複利で計算しましたが、半年複利、1ヶ月複利など期間が短い商品も存在します。同じ金利であっても短い期間で利子が元本に加えられるので、より高い複利効果が得られます。

預金による利子は源泉分離課税の対象となり、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかり、源泉徴収されます。この税金を加味して、いくつかの例で受け取れる収益額と利回りを計算してみます。計算に興味がない方は次の節まで読み飛ばしてください。

例1) 3ヶ月単利3%定期預金に100万円預けた場合
利子 = 元金 x 金利 x 90/365
 = 100万円 x 0.03 x 90/365
 = 7,397円
税金 = 利子 x 税率
 = 7,397円 x 0.20315
 = 1,502円
収益 = 利子 - 税金
 = 7,397円 - 1,502円
 = 5,895円
利回り = 収益 / 元金 x 365/90 (年利回りに換算)
 = 5,895円 / 100万円 x 365/90
 = 0.0239 → 2.39%

上の例では、年利3%を3ヶ月(90日)分に変換して利子を計算し、利子から税金を引いて収益を求めます。利回りは収益を元金で割った上で、年利に戻しています。

例2) 3年定期預金(1年複利1%)に100万円預けた場合
1年目利子 = 元金 x 金利
 = 100万円 x 0.01
 = 10,000円
1年目税金 = 利子 x 税率
 = 10,000円 x 0.20315
 = 2,031円
1年目収益 = 利子 - 税金
 = 10,000円 - 2,031円
 = 7,969円

2年目利子 = 元金 x 金利
 = (100万円+7,969円) x 0.01
 = 10,079円
2年目税金 = 利子 x 税率
 = 10,079円 x 0.20315
 = 2,047円
2年目収益 = 利子 - 税金
 = 10,079円 - 2,047円
 = 8,032円

3年目利子 = 元金 x 金利
 = (100万円+7,969円+8,032) x 0.01
 = 10,160円
3年目税金 = 利子 x 税率
 = 10,160円 x 0.20315
 = 2,064円
3年目収益 = 利子 - 税金
 = 10,160円 - 2,064円
 = 8,096円

収益計 = 1年目収益 + 2年目収益 + 3年目収益
 = 7,969円 + 8,032円 + 8,096円
 = 24,097円

利回り = 収益 / 元金 x 1/3 (年利回りに換算)
 = 24,097円 / 100万円 / 3
 = 0.0080 → 0.80%

上のように1年ごとに計算するのは面倒なので、金利から税金分を引いて式を立てると以下になります。

収益 = 元金 x {(1+金利x(1-税率))^期間(年)-1}

上の式に代入すると先ほどとほぼ同じ結果になります。

収益 = 元金 x {(1+ 金利 x (1-税率))^3-1}
 = 100万円 x {(1+0.01x0.79685)^3-1}
 = 100万円 x 0.024096
 = 24,096円
利回り = 収益 / 元金 / 期間(年)
 = 24,096円 / 100万円 / 3
 = 0.008032 → 約0.8%

税金の端数処理の関係で1円の誤差が出ていますが、こちらの式の方が計算は楽です。

上の例では3年での計算なので複利と単利で大きな差が出ませんが、長期にわたる場合複利の効果は絶大です。1年複利で預金を行った場合、元金が2倍になるまでにかかる年数は、72を金利で割った値の年数になるという「72の法則」というものがあります。、この法則を使うと、元金が2倍になるまでの年数を簡易に計算できます。例えば、金利が3%の場合72/3=24年、4%の場合は72/4=18年で元金が約2倍になります。金利を味方につけられれば、収益を元本に組み入れていくことで大きな資産が形成できるということです。

3. ポイントはお得なのか

日常生活ではいろいろな場面でポイントが出てきます。お店専用のポイント、クレジットカードのポイント、QR決済のポイントなど様々なポイントがあります。ポイ活で積極的にポイントを活用している方も増えています。

ポイントが預金の利子や割引と違う点はなんでしょうか。それは付与された時点では効果として現れず、利用して初めて効果が出るという点です。ポイント付与は使う権利をもらっただけということです。ポイントを付与する側から考えると、ポイントを付与した時点ではキャッシュフローが傷まないことが値引きとの違いです。また、一定の割合でポイントを使用しない人がいるからこそ高い付与率を設定できるとも言えます。ロイヤリティの高い人にポイントを有効活用してほしいので、多くのポイントに有効期限が存在することも忘れてはいけません。

ということで、ポイントがお得かどうかはしっかり利用できるかどうかにかかっています。例えばそのお店のみで利用できるポイントの場合、あまり頻度高く通うお店でないのであれば、残っているポイントを都度利用してしまう方が良いと言えるでしょう。

多くのお店で使える共通ポイント(dポイント、Vポイント、楽天ポイント等)はその共通ポイントが貯まるお店、使えるお店(ポイント経済圏と呼ばれたりします)をしっかり把握しておきましょう。使う前提でないと次の節のお得度の比較は意味がなくなってしまいます。

4. お得度の比較

ポイントのお得度を比較するために、預金の利子に相当するポイントの付与率を考えます。使える前提に立つので、ここでは1年を基準とする預金金利のような期間は考慮に入れずに考えます。

ポイントの付与率はさまざまなので、お店ごと、決済ごとに付与の方法を確認していく必要があります。ただ、多くのお店、決済が200円で1ポイントを付与しているので、この水準をまずはベースとして覚えておきます。200円で1ポイントということは、その付与率は0.5%になりますが、399円でも1ポイントなので、正確には最大0.5%ということになります。

この200円が税込なのか税抜なのかもお店によって異なりますが、現実に消費税がかかるお店であれば税抜金額に対して付与している例が多いようです。クレジットカードやQR決済などは決済金額そのもの(すなわち税込の金額)になります。同じ付与率であるなら、税込に付与してくれる方がお得になる可能性が高いと言えます。

専用のプリペイドカードを発行しているお店があります。例えば現金チャージしかできず、チャージ時に0.5%のポイントを付与、プリペイドカードを使った支払い時にはポイントが付かないケースを考えます。この場合付与率は0.5%ですから、もしあなたが付与率0.5%以上のクレジットカードを持っているなら、このプリペイドカードを使うメリットはないと考えて良いでしょう。

このプリペイドカードにクレジットカードからのチャージが可能であればちょっと状況が変わります。クレジットカードからのチャージでクレジットカード側のポイントが0.5%付くのであれば、合わせて1%の付与率になりお得になるからです。ただ、ポイントが分散しすぎると利用も大変になるので、お店に行く頻度など付与率以外の点もしっかり考慮しましょう。

5. まとめ

預金の利子や利回り、ポイント付与率を考慮したお得度比較などを解説してきました。私は付与率1%のクレジットカードをベースに、しっかり利用する出口戦略を立てて無理のない範囲でポイ活をしています。少しでも皆様の参考になれば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

1級ファイナンシャルプランニング技能士
CFP®️認定者
1級DCプランナー

コメント

このブログの人気の投稿

年金改革関連法案④給与収入が高い人の年金額が上がる?!標準報酬月額の上限の見直しについて

年金改革関連法案⑤配偶者が亡くなったときにもらえる年金をご存知ですか??遺族年金制度の見直しについて

年金改革関連法案⑦公的年金制度のその他の改正事項と残された課題