年金制度改正法が6月に成立し、私的年金のひとつであるiDeCo(個人型確定拠出年金)について、加入可能年齢および拠出限度額の上限が引き上げられることが決まりました。法案では、3年以内に実施となっていましたが、厚生労働省が2027年1月から実施することを決めたというニュースが流れています。

当ブログでは、「老後資金の上乗せはiDeCo?!拠出限度額の引き上げや加入可能年齢の上限の引き上げが予定されています!!」の投稿でその内容を詳しく解説しましたが、内容をおさらいした上で注意点などを解説したいと思います。

参考: 日本経済新聞「イデコ、掛け金上限7000円上げ 27年1月から6.2万円に

ポイント
  • 2027年1月から加入可能年齢と拠出限度額の上限が引き上げられる
  • 国民年金被保険者であることがiDeCoの加入要件から削除される
  • 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していないことは引き続き加入要件となる

現行制度のiDeCo (個人型確定拠出年金)

iDeCoは、いわゆる確定拠出年金のひとつで、加入の申し込み、掛金の拠出・運用を自分で行い、掛け金とその運用益全体を元に給付を受けられる制度です。

iDeCoの特徴は以下のとおりです。

iDeCoの特徴
  • 原則60歳になるまで資産を引き出すことはできない
  • 一定の条件を満たす20歳以上65歳未満の公的年金被保険者が加入できる
  • 給付額は運用実績により変動する確定拠出年金制度である
  • 通算加入期間に応じて受給開始年齢が決められている

iDeCoの税制上の優遇については、以下のとおりです。

iDeCoの税制優遇措置
  • iDeCoの掛金は、全額小規模企業共済等掛金控除という所得控除の対象
  • 運用益(譲渡益、配当等)は全額非課税
  • 一時金で受け取る場合は退職所得控除の対象、年金で受け取る場合は公的年金等控除の対象

iDeCoに加入できる人は、公的年金制度の被保険者である必要があり、国民年金の任意加入者も加入することができます。しかし、iDeCoの老齢給付金を受給している人または受給したことがある人、老齢基礎年金または特別支給の老齢厚生年金を繰り上げ受給している人は加入することができません。

サラリーマン(第2号被保険者)の場合、勤務先で企業型確定拠出年金に加入していて、①事業主掛金を月単位ではなく年単位で拠出している人、②事業主掛金に上乗せしてマッチング拠出をしている人は加入することができません。

拠出限度額は年金制度の被保険者種別ごとに以下のようになっています。

iDeCoの拠出限度額
 被保険者種別  拠出限度額
第1号被保険者自営業者等6.8万円/月81.6万円/年
第2号被保険者公務員2.0万円/月24.0万円/年
企業年金等に加入している会社員
企業年金等に加入していない会社員2.3万円/月27.6万円/年
第3号被保険者専業主婦・主夫等

iDeCoの制度改正

制度改正のポイントは、加入可能年齢の引き上げと拠出限度額の引き上げです。

iDeCoの加入可能年齢の引上げ

一点目のポイントは、加入可能年齢の70歳までの引き上げです。現行制度では、iDeCoに加入できる人は公的年金制度の被保険者である必要があります。しかし、被保険者種別によって被保険でありうる年齢が異なっているため、iDeCoの加入可能年齢もまちまちになっています。

iDeCoの加入可能年齢

第37回社会保障審議会企業年金・個人年金部会2024年11月8日資料1より簡略化して作成

このような状態を、70歳まで加入可能にするように制度が改正されます。

iDeCoの加入可能年齢の引き上げ

厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」より引用

加入要件から「国民年金被保険者」が外れ、個人型確定拠出年金の加入者または運用指図者であった人、私的年金の資産を個人型確定拠出年金に移換できる人で、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付を受給していない人は70歳まで加入できることになりました。

iDeCoの拠出限度額の引上げ

iDeCoの拠出限度額については、以下のように上限が引き上げられます。

iDeCoの拠出限度額 現行と見直し後のイメージ

第39回社会保障審議会企業年金・個人年金部会2024年12月26日参考資料1に基づき作成

現行と見直し後の拠出限度額は上の図のようになります。サラリーマン(第2号被保険者)の拠出額が大幅に増えると同時にわかりやすくなります。

iDeCoを70歳まで継続する場合の注意点

iDeCoへの拠出を70歳まで継続する場合、いくつか注意点があります。

ひとつ目は、iDeCoの老齢給付金を申請しないことです。老齢給付金をもらいながら、拠出を継続することはできませんので注意してください。

ふたつ目は、老齢基礎年金の申請をしないことです。多くの人が65歳になると老齢年金の受給申請を行いますが、iDeCoの拠出を継続しようと考えている方は、老齢基礎年金の受給申請は行わないでください。老齢厚生年金の受給は加入要件になっていないので、受給申請しても問題ありません。

まとめ

iDeCoの加入可能年齢と拠出限度額の上限の引き上げについて解説しました。

2027年1月前に現行制度上iDeCoの拠出が継続できなくなる方は、老齢給付金の申請は行わず、運用指図者として運用のみを行い、2027年1月から拠出を再開することで70歳まで継続できることになります。また、iDeCoの拠出を継続するつもりの方は、老齢基礎年金の受給申請は行わないようにしましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

執筆者プロフィール

1級ファイナンシャルプランニング技能士
CFP®️認定者
1級DCプランナー