自動車保険の話、車検の話と続けて自動車の話をしてきたので、今回は自動車の維持費全体についてまとめてみたいと思います。
- 自動車は、取得・保有・利用/走行の各段階で課税されている
- 取得時には自動車の取得価額に0~3%の税率を乗じた税がかかる(環境性能割)
- 保有では自動車の種類や排気量などに基づいた税が毎年かかる(種別割)
- ガソリンには店頭価格の約4割の税金がかかっている
- その他の維持費にはメンテ費用や駐車場代などがある
- 古い車には税金の加算がある
自動車関連の税金
前回の投稿「車検の案内が届きました!車検代に含まれている費用を再確認してみましょう!!」で、車検時にかかる法定費用について説明しました。車検時の法定費用の中に、自動車重量税という国税がありましたが、自動車関連の税金は他にも存在します。
自動車に関しては、取得・保有・利用/走行の各段階において総合的な課税が行われています。
車種 | 取得 | 保有 | 利用 | 走行 |
---|---|---|---|---|
普通車・小型車 | 自動車税(環境性能割) | 自動車税(種別割) | 自動車重量税 | 揮発油税 地方揮発油税 軽油取引税 |
軽自動車 | 軽自動車税(環境性能割) | 軽自動車税(種別割) |
総務省「自動車税・軽自動車税」のコラムをもとに作成
この表の中で、自動車重量税については前回の投稿で詳しく説明したので、それ以外の税金について説明していきます。
自動車税・軽自動車税
まず、自動車税と軽自動車税について説明します。自動車税は都道府県税、軽自動車税は市町村税となっています。
自動車税・軽自動車税には、取得時にかかる税金と保有時にかかる税金の二種類があります。
取得時にかかる税(環境性能割)
取得時にかかる税は、環境性能割と呼ばれるものです。自動車によって引き起こされる環境影響(CO2の排出、公害、騒音など)に対応するための社会的費用について負担を求めるものになっています。
環境性能割の税額は、自動車の取得価額に0~3%の税率を乗じた金額になります。乗用車、軽自動車で税額が異なり、以下の表のようになっています。なお、下記表は国土交通省の「環境性能割の概要」PDFファイルから自家用車の場合を抽出して作成したものです。税率が令和7年3月31日までと、令和7年4月1日から令和8年3月31日までとの分かれています。
対象・要件 | 税率 | ||||
---|---|---|---|---|---|
電気自動車 燃料電池自動車 天然ガス自動車(平成21年排出ガス規制NOx10%低減又は平成30年排出ガス規制適合) プラグインハイブリッド自動車 | 非課税 | ||||
令和12年度燃費基準 | |||||
排出ガス性能 | 60% | 70% | 80% | 85% | |
ガソリン車・LPG車 (ハイブリッド車を含む) | 平成17年排出ガス規制75%低減 又は 平成30年排出ガス規制50%低減 | 3% | 2% | 1% | 非課税 |
上記に該当しない車両 | 3% |
国土交通省「環境性能割の概要」(PDFファイル)をもとに作成
対象・要件 | 税率 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
電気自動車 燃料電池自動車 天然ガス自動車(平成21年排出ガス規制NOx10%低減又は平成30年排出ガス規制適合) プラグインハイブリッド自動車 | 非課税 | ||||||
令和12年度燃費基準 | |||||||
排出ガス性能 | 70% | 75% | 80% | 85% | 90% | 95% | |
ガソリン車・LPG車 (ハイブリッド車を含む) | 平成17年排出ガス規制75%低減 又は 平成30年排出ガス規制50%低減 | 3% | 2% | 1% | 非課税 | ||
上記に該当しない車両 | 3% |
国土交通省「環境性能割の概要」(PDFファイル)をもとに作成
対象・要件 | 税率 | |||
---|---|---|---|---|
電気自動車 燃料電池自動車 天然ガス自動車(平成21年排出ガス規制NOx10%低減又は平成30年排出ガス規制適合) | 非課税 | |||
令和12年度燃費基準 | ||||
排出ガス性能 | 60% | 70% | 80% | |
ガソリン車(ハイブリッド車を含む) | 平成17年排出ガス規制75%低減 又は 平成30年排出ガス規制50%低減 | 2% | 1% | 非課税 |
上記に該当しない車両 | 2% |
国土交通省「環境性能割の概要」(PDFファイル)をもとに作成
対象・要件 | 税率 | |||
---|---|---|---|---|
電気自動車 燃料電池自動車 天然ガス自動車(平成21年排出ガス規制NOx10%低減又は平成30年排出ガス規制適合) | 非課税 | |||
令和12年度燃費基準 | ||||
排出ガス性能 | 70% | 75% | 80% | |
ガソリン車(ハイブリッド車を含む) | 平成17年排出ガス規制75%低減 又は 平成30年排出ガス規制50%低減 | 2% | 1% | 非課税 |
上記に該当しない車両 | 2% |
国土交通省「環境性能割の概要」(PDFファイル)をもとに作成
保有にかかる税(種別割)
保有にかかる税は、種別割と呼ばれるものです。こちらは、自動車が道路などを損傷することに対して負担を求めるものになっています。また、新車に限り環境性能に優れた車の税率が引き下げられています。この自動車税(種別割)は、4月1日現在の自動車の所有者に対してかけられ、5月末までに納付する必要があります。
種別割の税額は、自動車の種類や排気量などに基づいて決められています。国土交通省のホームページで税額表が見つけられなかったので、東京都主税局の自動車種別割のページから乗用車の部分のみを引用して下記に掲載します。
総排気量 | 令和元年(2019年) 10月1日以後 初回新規登録 | 令和元年(2019年) 9月30日以前 初回新規登録 |
---|---|---|
電気自動車 | 25,000 | 29,500 |
1リットル以下 | 25,000 | 29,500 |
1リットル超 ~1.5リットル以下 | 30,500 | 34,500 |
1.5リットル超 ~2リットル以下 | 36,000 | 39,500 |
2リットル超 ~2.5リットル以下 | 43,500 | 45,000 |
2.5リットル超 ~3リットル以下 | 50,000 | 51,000 |
3リットル超 ~3.5リットル以下 | 57,000 | 58,000 |
3.5リットル超 ~4リットル以下 | 65,500 | 66,500 |
4リットル超 ~4.5リットル以下 | 75,500 | 76,500 |
4.5リットル超 ~6リットル以下 | 87,000 | 88,000 |
6リットル超 | 110,000 | 111,000 |
東京都主税局「自動車種別割」をもとに作成
上の表に対して、4月1日現在で初回新規登録後13年(ガソリン自動車・LPG自動車の場合)を超える場合は、概ね15%の重加算があります(グリーン化特例(重加))。逆に初回新規登録者(新車)に限り、環境性能が優れた車の税率が引き下げられています(グリーン化特例(軽化))。
排出ガス基準 | 燃費基準 | 軽減割合 |
---|---|---|
平成30年排出ガス基準 50%低減(☆☆☆☆) 又は 平成17年排出ガス基準 75%低減(☆☆☆☆) | 令和12年度燃費基準90%達成 かつ 令和2年度燃費基準達成 | 概ね75% |
令和12年度燃費基準70%達成 かつ 令和2年度燃費基準達成 | 概ね50% |
東京都主税局「自動車種別割」をもとに作成
ちなみに年度の途中で自動車を購入した場合の種別割額は、購入の翌月から年度末までの月数分を支払うことになります。9月に購入した場合は、10月から翌年3月までの6ヶ月分ということになります。
軽自動車についても同様に種別割が存在します。平成28年度から新しい制度が適用され、平成27年4月1日以後に最初の新規検査を受けた軽四輪車等には新税率が適用されます。平成27年3月31日までに最初の新規検査を受けた軽四輪車等については、旧税率が適用されます。
車種区分 | 標準税率 | |||
旧税率 | 新税率 | |||
三輪 | 3,100円 | 3,900円 | ||
四輪以上 | 乗用 | 自家用 | 7,200円 | 10,800円 |
営業用 | 5,500円 | 6,900円 | ||
貨物用 | 自家用 | 4,000円 | 5,000円 | |
営業用 | 3,000円 | 3,800円 |
総務省「平成28年度から軽自動車税の税率が変わります」より引用
軽自動車においても、環境負荷低減を目的として最初の新規検査から13年を経過した車には概ね20%税率が上乗せされます。
車種区分 | 重課税率 | ||
三輪 | 4,600円 | ||
四輪以上 | 乗用 | 自家用 | 12,900円 |
営業用 | 8,200円 | ||
貨物用 | 自家用 | 6,000円 | |
営業用 | 4,500円 |
総務省「平成28年度から軽自動車税の税率が変わります」より引用
環境性能の優れた軽四輪車等には、燃費性能に応じて税率を軽減する「グリーン化特例(軽課)」があります。
対象車 | 内容 |
---|---|
電気軽自動車等 | 税率を概ね75%軽減 |
H32年度燃費基準+20%達成車 | 税率を概ね50%軽減 |
H32年度燃費基準達成車 | 税率を概ね25%軽減 |
総務省「平成28年度から軽自動車税の税率が変わります」より引用
ガソリンにかかっている税
自動車を走行するために必要なガソリンにはいろいろな税金がかかっています。ガソリンスタンドで入れるガソリンの店頭価格は以下のような式で表すことができます。
ガソリン店頭価格
= (ガソリンそのものの価格+ガソリン税+石油石炭税+地球温暖化対策税) x 消費税率
ガソリン税は国税である揮発油税と地方税である地方揮発油税、それに特例的に掛けられている特例税率(暫定税率)からくる税の3種類の合計です。それぞれの税額は、1リットルあたり揮発油税が24.3円、地方揮発油税が4.4円、特例税率分が25.1円で合計53.8円になっています。これらの金額は、それぞれ揮発油税法第二章第九条、地方揮発油税法第七条、租税特別措置法により決められています。
石油石炭税は1リットルあたり2.04円、地球温暖化対策税は1リットルあたり0.76円になっており、これらの金額はそれぞれ石油石炭税法第九条1、平成24年度税制改正大綱で決められたものです。ガソリン税と合わせて56.6円の税金になります。
上の式を見ると税金に消費税がかかっていて不自然に感じる方がいると思います。ネットで調べるとこの方式は二重課税だと論じている方も多く、議論になっていることがわかりますが、現状はこの式のとおりで価格が決まります。
例えば店頭価格が187円だった場合、逆算するとガソリンそのものの価格は113.4円になります。差額が税金ですので、店頭価格の約4割が税金ということになります。
ちなみに、令和7年度税制改正大綱において特例(暫定)税率分25.1円を廃止すると明記されましたが、財源等の問題もありまだいつ廃止になるかは明確になっていません。
また、ガソリンについては補助金という用語がニュース等でよく出てきます。従来のエネルギー価格高騰に対する激変緩和策としての元売業者に対する補助が組み直され、定額の価格引き下げ措置に移行されています。
- 経済産業省資源エネルギー庁「燃料油価格定額引下げ措置」
我が家の自動車維持費
さて、自動車保険に関する投稿、車検に関する投稿、今回の投稿で自賠責保険と任意保険、車検に関する費用、および自動車の取得・保有・利用/走行にかかる税金を見てきました。
これら以外で自動車の維持にかかる費用は以下のようなものがあります。
- 駐車場代
- メンテナンス代
- ガソリン代
これらは居住地域や住宅、趣味・嗜好によってかなりばらつくので、自分の環境で試算する必要があります。郊外の一戸建てなら駐車場代はかからないでしょうが、都会のマンションでは高額な駐車場代の負担があるかもしれません。また、寒冷地ではタイヤやバッテリーの交換頻度が上がるでしょうからメンテナンス代も比較的高額になります。ガソリン代も通勤に使うか否か、会社からの補助の有無、車での旅行の頻度などでかなり差が出るはずです。
さまざまなサイトに自動車維持費の目安が載っているので概算についてはそちらに任せるとして、我が家の自動車維持費がいくらなのかまとめてみました。我が家の状況は以下のとおりです。
- 郊外の一戸建てで駐車場は敷地内
- 2004年購入のミニバンと2012年購入の軽自動車の2台持ち
- 使用用途は日常使いのみで通勤・通学等には使っていない
- 車での遠出の頻度は低い
費目 | 軽自動車 | 普通自動車 | |
---|---|---|---|
車検費用 | 自賠責保険料 | 8,770 | 8,825 |
自動車重量税 | 2,500 | 25,200 | |
検査手数料 | 800 | 800 | |
車検基本料・整備費用 | 19,102 | 24,606 | |
自動車税・軽自動車税 | 7,200 | 51,750 | |
任意保険料 | 40,800 | 50,690 | |
メンテナンス費用 | 29,150 | 150,999 | |
駐車場代 | 5,550 | ||
ガソリン代 | 77,892 | ||
合計 | 504,634 |
昨年はどちらの車も車検の年ではなかったので、2023年の車検費用の半分を1年分として入れてあります。駐車場代は出先でのものなので、固定費ではなく交通費の一部の感覚です。駐車場代、ガソリン代はどちらの車用かまでは記録していないので2台合計で表示しています。
あまり乗っていないのでメンテ費用含めて維持費は相場よりかなり低いですが、古い車なので自動車税と自動車重量税が高額になっています。両方とも買い替えないといけないですね、、、
まとめ
自動車の取得・保有・利用/走行にかかる税金を説明した上で、我が家の自動車維持費用のリアルな数字をお示ししました。まとめてみて、古い車の維持費が高額であることを私自身改めて実感した次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
1級ファイナンシャルプランニング技能士
CFP®️認定者
1級DCプランナー