退職後の健康保険をどうしたらいい??第4の選択肢「特例退職者被保険制度」とは?

会社を辞めた場合、どの健康保険に加入するかには次の3つの選択肢があります。
- 家族の扶養に入る
- 任意継続制度を利用して退職前に加入していた健康保険に継続して加入する
- 国民健康保険に加入する
実は、一部の人に限られますが第4の選択肢があることをご存知でしょうか。今回は、第4の選択肢である「特例退職者被保険制度」について解説します。
なお、上記三つの選択肢と国民健康保険の保険料の試算については、「組合健保や協会けんぽから国民健康保険に変更になったら保険料負担が重くなる?いくつかの例で試算してみましょう!」の投稿で解説していますので、そちらも参照いただければと思います。
※参考: 厚生労働省「日本の国民皆保険制度の特徴」
ポイント
- 一部の健康保険組合には、年金受給権のある退職者向けに特例退職者保険制度がある
- 特例退職者保険制度は現役時代の貢献に報いる意味合いを持つ制度である
- 任意継続被保険者制度同様、保険料は全額自己負担だが、標準報酬月額は低めに抑えられている
- 制度を持つ健康保険組合で、加入期間等の要件を満たす人には有力な選択肢となる
目次
厚生労働省の資料「特定健康保険組合について」によると、特定健康保険組合の設立要件、及び特例退職者被保険制度への加入要件は以下のようになっています。
老齢年金は原則65歳から受給できるので、65歳から後期高齢者医療制度の加入年齢である75歳になるまで、条件を満たす加入期間がある人は特例退職者被保険者となることができます。
参考: 厚生労働省「特定健康保険組合について」
2. 特例退職者被保険制度を持つ健康保険組合
ちょっと古い資料ですが、平成26年11月7日付けの厚生労働省の資料「特定健康保険組合について」によると、その時点での特定健康保険組合は以下の61組合となっています。健保組合の財政が厳しくなる中、本制度を維持することが難しくなり、制度を廃止する組合も増えているようです。これらの組合に加入されている、あるいはされていた方は最新の状況を確認いただくようお願いいたします。
※厚生労働省「特定健康保険組合について」より引用
3. 特例退職者被保険制度における保険料
特例退職者被保険者の保険料は、任意継続被保険者の保険料と同様全額自己負担になります。
保険料算出の基礎となる標準報酬月額は、当該組合の標準報酬月額の平均と、標準賞与額の平均の1/12を合算した額の1/2の範囲内で組合が規約で定めることになっています。
任意継続被保険者の保険料は、退職時の標準報酬月額、または、健康保険組合の全被保険者の標準報酬月額の平均額のいずれか低い方に保険料率をかけて計算されるのに対して、特例退職者被保険者の保険料は規約で定めた標準報酬月額で計算されるので、保険料が安くなる可能性が高くなります。
4. 国民健康保険との保険料比較
5. まとめ
今回は、「特例退職者被保険制度」の解説を行いました。制度を持つ健康保険組合は限られていますが、利用可能な人にとっては有力な選択肢になると思いますので、検討されることをお勧めします。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
1級ファイナンシャルプランニング技能士
CFP®️認定者
1級DCプランナー
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